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田中ひろし法律事務所のBlog

2015年12月23日 水曜日

お酒にまつわる法律 第3回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
年末年始、ホームパーティを開く方も多いと思います。
料理自慢の方にとっては、腕の見せ所として
楽しみな時期でもあるのではないでしょうか。
パーティにかかせないお酒も、自家製のものだと
ぐっと本格的になりますね。
今回は自家製のお酒に関する法律について
ご紹介していきます。

1.お酒をつくるには、免許が必要
お酒に「酒税」という税金がかかっていることは
皆さんもご存知かと思います。
この税金をきちんと徴収するために、法律では
お酒をつくる人に対して「酒類製造免許」を取得するように
取り決めています。
もし、この免許がない状態でアルコール分1%以上のお酒をつくると
「密造酒」とみなされて、10年以下の懲役又は
100万円以下の罰金が科せられます。
しかも、この免許は誰でも簡単に受けられるものではありません。
1年あたりのお酒の製造量が、ビールや清酒なら60キロリットル以上、
果実酒やウイスキーなら6キロリットル以上必要になります。
とても個人でつくることはできない量ですね。

2.お酒に他のものを混ぜてもダメ!
さらに、購入したお酒に別のものを混ぜる行為(混酒)も
基本的には禁止されています。
ただし例外として、家庭や飲食店で、お酒を消費する直前に
行う場合は良いということになっています。
カクテルやソーダ割りなどは、すぐに飲むなら免許がなくても
作って良いということですね。

3.自家製梅酒はどうなるの?
ここで、
「家で梅酒を漬けるのは法律違反なの?」
と思われる方がいるかもしれません。
お酒に梅や砂糖を混ぜて、数ヶ月保管したものは
先ほど紹介した例外に含まれるようには思えないですね。
実は梅酒をはじめとした漬け込み酒づくりも例外のひとつで、
・自家消費用であること
・20度以上の蒸留酒を使うこと
・混ぜた後にアルコールが新たに1度以上発酵しないこと
 (アルコール分が増えないこと)
・法律で規定されたものを混ぜないこと
という条件を守っていれば良いということになっています。
最後の「法律で規定されたもの」とは
米、麦、あわ、とうもろこしなどの穀物やこれらの麹、ぶどう、
アミノ酸やその塩類、ビタミン類、色素、香料などたくさんありますが
一般的な作り方で梅酒や杏酒をつくる場合は問題ありません。
ただし、自家製梅酒でも、人に売ることはできません。
お酒の販売には「酒類販売免許」という別の免許が必要だからです。

4.では、サングリアは?
梅酒のほかに、ここ数年流行している「サングリア」はどうなのでしょうか?
サングリアとは、ご存知の方も多いと思いますが
ワインに果物や砂糖、果物ジュースなどを入れたもので
スペインやポルトガルで親しまれているお酒です。
一般に販売されているワインのアルコール度数は15度前後ですから
作ってすぐに飲むカクテルとしてならばOKということですね。
ネット上では、果物などを混ぜたあとに1晩~1日置くようなレシピや、
自宅でつくったものをバーベキューなどのアウトドアで
楽しむようすすめるような記事を見かけることがありますが、
これは気をつけたほうがよさそうです。

ホームパーティでは、自家製果実酒をお客さんにふるまったり
オリジナルカクテルをつくることもあると思います。
皆で楽しい時間を過ごすためにも、法律違反にならないように
気をつけてくださいね。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年12月12日 土曜日

お酒にまつわる法律 第1回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
12月になり、今年も残すところあとひと月です。
年末年始はクリスマスに忘年会、新年会など、お酒を飲む機会が
増えますね。
普段は飲む習慣がなくても、
「クリスマスは特別に...」
「親戚との新年会くらいは...」
と、この時期だけは口にするという方もいらっしゃるのでは
ないでしょうか。
というわけで、今回は、お酒にまつわる法律について
ご紹介してみたいと思います。

1.お酒は二十歳になってから!
みなさんご存知の通り、日本ではお酒を飲めるのは
20歳になってからです。
1月には成人式があり、新成人が集まってお酒を飲んでいる姿を
見かけることもありますが、法律上はあくまでも
「20歳になったかどうか」が基準になります。
成人式は学年単位で参加することがほとんどですが
2月生まれ、3月生まれの新成人は、いくら同級生が
楽しそうに飲酒していても、まだお酒を飲んではいけません。

2.提供者も罰せられる!?
たとえば居酒屋やコンビニなどで「私は20歳です」と言うお客さんに
お酒を提供したとします。
もし、このお客さんが実は未成年だった!ということがわかれば
提供したお店側が罰せられることになります。
(これは「未成年者飲酒禁止法」という法律で定められていますが
「未成年者にお酒を飲ませてはいけない」という趣旨の法律であるため
飲酒した本人が罰せられるわけではないのがポイントです)
お店で働く人はもちろん、一緒に飲み会に参加する人も
「この子は本当に成人しているのかな?」と思ったら
身分証を見せてもらうなど、きちんと年齢確認すべきですね。

3.強要すると罪に問われることも
近年、セクハラやパワハラなどをはじめとして、
○○ハラスメントという言葉をいくつも耳にするようになりました。
このうちのひとつ、アルコールハラスメントは
年末年始や年度初めの時期によく聞きますね。
日本人には、体質的にお酒がまったく飲めない人や、
飲めても少量ですぐに眠ってしまったり、具合が悪くなったり
する人も少なくありません。
また、お酒を飲める人でも、健康上の理由で禁酒していたり、
「自分は酒癖が悪いから、人前で飲むのはやめよう」
「明日は朝早く車を運転するから、今夜は飲まないでおこう」
と自重していることもあります。
そういう人にお酒を強要すると、人間関係を壊すだけでなく
法律上は、強要罪や過失傷害罪などの罪に問われる可能性もあります。
また、一緒に飲んでいた友達が酔いつぶれてしまったとき
もし道端などに放置して帰ってしまったら、保護責任者遺棄罪になる
可能性があります。
たとえ酔っ払っていても、友達の介抱は忘れないでくださいね。

さて、お酒にまつわる基本的な法律を整理してみました。
次回以降は、すっかり定番になった「飲酒運転」の話題や
「自家製のお酒」にまつわるお話をしていきたいと思います。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年12月 2日 水曜日

ADR(裁判外紛争解決手続) 第5回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
前回に引き続き、
「街頭で声をかけられたのをきっかけに購入した絵画に関する紛争」
について見ていきたいと思います。
申請人と相手方の主張は前回のブログをご覧ください。
今回は、その後、国民生活センター紛争解決委員会の委員が
間に立って行われた話し合いについてまとめていきます。

話し合いにおける双方の主張をまとめると
以下のようになります。

まず、問題となっているリーフレットについては、
それぞれ次のような主張がありました。
・相手方事業者:街頭で声をかけた際に渡したリーフレットに絵画の販売目的等を明記しており、申請人もそれを十分承知しているはず
・申請人:展示会場までは街頭で声をかけてきた女性が付き添っており、渡されたリーフレットの記載内容が目に触れる機会はなかった

また、展示会場に入ったことについても、申請人は
・展示会場は絵画の販売会場のようには思えず、絵画の販売が目的であるようには認識できなかった
と主張しています。

ここでも双方の意見は一致しませんね。
街頭や展示会場でのやりとりについては、証拠となるものも少なく
認識の違いを解消することは難しそうです。
しかし、この問題に早く決着をつけたい、という気持ちは
お互いに共通のはずです。
そこで、早期解決を図るため、
「相手方事業者が商品代金のうち95万円を申請人に返還し、
申請人は本件商品を相手方事業者に返送する」
という和解案が紛争解決委員によって提示されました。
結果、両当事者がこれを受け入れ、和解が成立したそうです。

支払ったのは100万円ですから、全額とはいかなかったものの
95%の金額は戻ってきたことになりますね。
もし、申請人の方が、クーリングオフが受付られなかったことで
諦めてしまっていたら、どうなっていたでしょう。
相手方としても、表沙汰にすることなく短期間で解決できたことで
かえって助かった、という面があったのではないかと思います。

ADRのポイントは、第三者である仲介人が
和解案を提示する点にあります。
もし、これを裁判等で解決しようとすると
「本当に執拗な勧誘があったのか?」「その証拠は?」
と、ひとつひとつの事柄について証拠を集めたり
それをまとめた資料を作成したりといった時間がかかり
解決までにもっと長い時間と手間がかかったと想像できます。
今回の場合は、執拗な勧誘があったかどうかや
1つひとつのやりとりの詳細を調べることそのものは
申請人にとっても相手方の事業者にとっても
さほど重要ではなかったのではないでしょうか。
ADRでは、こういった詳細をいったん脇に置いて、
「お互いが納得するための落とし所」を探ることに
力を注ぐことができるわけですね。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

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