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田中ひろし法律事務所のBlog

2015年9月29日 火曜日

判決の読み方 第5回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
前回ご紹介した終身刑や死刑は、基本的には
その後、刑務所から出てくることはないはずですが
実際には絶対に出所できないというわけではありません。
仮釈放という制度があるからです。
数ヶ月前、テレビにコメンテーターとして出演していた弁護士が
「無期懲役でも15年くらいで仮釈放になることがある」
というような趣旨の発言をしたことでも話題になりました。
気になっているという方も多いのではないでしょうか。

本当に15年で仮釈放になるのか?という点については、ネット上でも
複数の方が詳しい解説をされていますので、ここでは割愛します。

記事を読まれていない方のために簡単にまとめると

・無期刑の受刑者で実際に仮釈放された人の平均の受刑期間は30年以上
・きちんと更生していない受刑者の仮釈放は許されない可能性が高い
・無期刑の受刑者のほとんどは獄死していて、仮釈放が許されるのはごく少数

といった内容で、再犯の可能性の高い受刑者が
簡単に仮釈放されるということはまずなさそうです。
※上の要点は、主に弁護士ドットコムの以下のページを参考にしました。
http://www.bengo4.com/c_1009/c_19/n_3280/

この仮釈放、今回は無期懲役と関連して話題となりましたが
無期刑や死刑の場合だけの制度ではありません。
最近では、2013年に堀江貴文さん(世間ではホリエモンと
呼ばれることが多いですね)が仮釈放となりました。
判決の「懲役2年6か月」のうち、最後の約7ヶ月ほどは
刑務所の外で暮らしていたことになります。

仮釈放はあくまで仮の釈放ですから、刑期が満了するまでの間は
保護観察がつき、生活にも制限があります。
例えば、決められた頻度で保護司と面談をすることや
長期間の旅行は事前に保護監察官や保護司に申告すること、
などです。
また、保護観察中に何か罪を犯せば、その罪の重さにかかわらず
また刑務所に戻ってもとの刑期までを過ごすことになります。


今月は、判決の読み方、というテーマで、ニュースでもよく聞くような
基本的な言葉の意味をご紹介してきました。
いかがでしたでしょうか。
刑罰の内容は、その名称からもなんとなく想像がつきますが
執行猶予や仮釈放などの制度についても知っておくと
ニュースの見方も少し変わるのではないかと思います。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年9月15日 火曜日

判決の読み方 第4回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
今回は無期刑と死刑についてです。

無期刑とは、文字通り、期限が決められていない
懲役や禁固のことで、死刑の次に重い刑とされています。
といっても、現在の日本の法律では無期懲役でも10年を過ぎると
仮釈放の申請ができるようになるため、絶対に一生
刑務所から出られない、というわけではありません。
(仮釈放については、次回、ご紹介したいと思います)

死刑については、先進国では撤廃されている国も多く、
日本でもそうすべきだといった議論もありますね。
死刑制度そのものの是非はともかくとして、
執行には法務大臣(現職は上川陽子大臣ですね)の
命令が必要なので、執行されるかどうかは
そのときの法務大臣の考えにも左右されます。

例えば、ここ5年ほどの法務大臣と、死刑執行命令を出した回数を
並べてみると次のようになります。
それぞれ、在職期間も異なりますが、0回という大臣も
半数近くになっています。

江田五月 (2011年1月14日就任/民主党) 0回
平岡秀夫 (2011年9月2日就任/民主党) 0回
小川敏夫 (2012年1月13日就任/民主党) 3回
滝実   (2012年6月4日就任/民主党) 4回
田中慶秋 (2012年10月1日就任/民主党) 0回
滝実   (2012年10月24日就任/民主党) 0回
谷垣禎一 (2012年12月26日就任/自民党) 11回
松島みどり(2014年9月3日就任/自民党) 0回
上川陽子 (2014年10月21日就任・在任中/自民党) 1回
※Wikipediaより
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E5%8B%99%E5%A4%A7%E8%87%A3
Wikipediaではもう少し詳しい情報も掲載されています。

ですから、死刑という判決が下されても、その後
すぐに執行されるわけではなく、最近では、何年も執行を
待つうちに病気で亡くなってしまうこともあるようです。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年9月 8日 火曜日

判決の読み方 第3回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。

刑事事件の刑罰のうち、身体の自由を奪う罰には

・拘留(30日未満、刑事施設に拘束される)
・懲役(刑務所に拘束され、刑務作業を行う)
・禁固(拘束されるが、刑務作業は行わない)

の3つがあります。
死刑は、身体の自由というよりは、生命そのものを
奪われることとなるので、ここでは別のものとして扱います。

さて、これら、身体の自由を奪う刑の目的は
大きく3つあります。
1つは、犯罪者を一般世間から隔離することで社会の平和を保つこと。
2つめは、犯罪者を隔離し、被害者による報復や世間の差別から保護すること。
3つめは、長い期間に渡って自由を奪うことで、犯罪を抑止すること。

このほか、懲役の場合は刑務作業を行わせることで
犯罪者に反省を促し、社会復帰の助けとしています。

拘留は、1日~29日の範囲で刑事施設に拘束されることです。
「刑事施設に拘束される」という面は禁固と同じですが
期間のほかに、執行猶予がつくかどうかという点も異なります。
また、拘留、禁固ともに、刑務作業はありませんが
本人が希望すれば、作業を行うことができる場合もあります。

拘留になる可能性がある主な罪は、
公然わいせつ罪、暴行罪、侮辱罪などです。
(もちろんほかの刑罰になることもあります。)
とはいえ、実際に拘留が言い渡されるケースは
最近では毎年100件以下と、あまり多くないようです。

また、禁固と懲役の大きな違いは、刑務作業を行うかどうかです。
ただし、前述の通り、禁固の場合でも本人が希望すれば
作業を行うことができ、実際に、受刑者の多くは
自ら願い出て作業を行うそうです。
反省のため、ということもあると思いますが
自由に外に出られない状況で、ただじっとして日々を過ごすよりは
何か作業をしているほうが、気分的にも良いのかもしれませんね。

拘留、禁固、懲役について表にまとめると以下のようになります。

  拘留 禁固 懲役
刑務作業 希望があれば 希望があれば 必須
期間 1~29日間 1ヶ月以上
無期の場合も
1ヶ月以上
無期の場合も
執行猶予 つかない つく
ただし3年以下
つく
ただし3年以下
主な罪 公然わいせつ罪
暴行罪
侮辱罪 など
政治的犯罪や
過失犯など
殺人、傷害、窃盗
などをはじめ、多数

次回は、無期刑と死刑についてご紹介します。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年9月 2日 水曜日

判決の読み方 第2回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。

さて、刑事事件の刑罰には、主に次の6種類があります。

・科料(1万円未満のお金を支払う)
・拘留(30日未満、刑事施設に拘束される)
・罰金(1万円以上のお金を支払う)
・懲役(刑務所に拘束され、刑務作業を行う)
・禁固(拘束されるが、刑務作業は行わない)
・死刑(生命を奪われる)

刑事事件と民事事件の違いは、詳しく説明すると
難しくなりますので、ここでは、
「罪を犯した人に対して、国が罰をくだす」ものを刑事事件
「個人と個人の間での争い」を民事事件ととらえていただければ
良いかと思います。

さて、話を戻して、刑罰の種類を見てみましょう。
たとえば、「罰金」と「科料」、上記の説明では
単純に金額が違うだけに見えますが
他にも細かい違いがあります。
表にまとめてみましょう。
  罰金 科料
金額 1万円以上 1000円以上、1万円未満
市町村役場の犯罪人名簿に 記載される 記載されない
納められない場合は 労役場に留置され、労務に服する(期間は最長2年間)  労役場に留置され、労務に服する(期間は1日以上30日以下)
執行猶予 つく(但し50万円以下) つかない

金額のほか、大きな違いは、犯罪人名簿に記載されるかどうかと
執行猶予がつくかどうか、ということでしょうか。

少し話がそれますが、犯罪人名簿とは、市区町村が
主に選挙人名簿を作成するために管理しているものです。
選挙人名簿の作成に犯罪の履歴がなぜ必要かというと、
過去に犯した罪によっては、選挙権・被選挙権が停止される
と、公職選挙法に定められているからです。
詳しくはまた別の機会にご紹介しますが、
罰金刑になったからといって、必ず選挙権がなくなる、
ということではありません。

執行猶予については、前回ご紹介したとおりですね。

さて、科料にしろ罰金にしろ、支払う能力がない場合は
「労役場に留置され、労務に服する」とありますね。
1日の労務がいくらになるのかは、裁判官が決めることに
なっており、科料または罰金の金額に達するまでの日数、
軽作業などを行うことになります。
罰金のうち一部を事前に支払っていれば、その分
日数は少なくなります。
とはいえ、労役場に留置するのにも
経費(食費や光熱費、労役場の人件費など)がかかりますので
検察庁としては、分割納付や親族等による立て替えなどで
できるだけ現金で徴収するようにしているようです。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

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