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田中ひろし法律事務所のBlog

2015年8月27日 木曜日

判決の読み方 第1回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
ニュースを見ていると、痛ましい事件があとを絶たないですね。
大阪府高槻市の事件では、容疑者に過去に逮捕歴が
あったことも話題になっています。
一度は逮捕されたのに、また事件を起こす人がいるのか...
と、不安になられる方も多いのではないでしょうか。

そこで、今週は、裁判で有罪となった場合の判決から
その後、被告人がどうなるのかを知る際のポイントを
ご紹介したいと思います。

たとえば、「懲役3年、執行猶予5年」という判決の場合、
被告人は刑を受けないままになるかもしれない、ということは
ご存知でしょうか?
前半の「懲役」という単語が印象に残って、刑務所に入るものと
誤解されている方も少なくないようです。

執行猶予について詳しい解説は裁判所ホームページにも
掲載されています。
http://www.courts.go.jp/saiban/qa_keizi/qa_keizi_28/

要約すると、執行猶予がついていると、
・被告人が直ちに刑が執行されることはない
・執行猶予の期間内に被告人が再び罪を犯したりすると、
 執行猶予が取り消され、刑を執行される
・再び罪を犯したりすることなく、その猶予の期間を無事に
 過ごしたときは、刑の言渡しそのものが効力を失い、
 その刑の執行を受けることはない
ということになります。

執行猶予というのは、被告人が自分の罪を心から反省し、
今後は罪を犯すことがないだろう、というときにつけられるもので、
執行猶予がつけられるためには
・被告人に前科がないこと
・3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金を言い渡すとき
という条件もあります。

つまり、「懲役3年、執行猶予5年」というのは、
本当は3年間懲役する必要があるくらいの罪を犯したけれども、
執行猶予の期間中、まじめに生活をしていれば
刑務所には入らなくて良いですよ、という意味になります。

反対に、執行猶予のない刑を「実刑」と言います。
ニュースなどで「実刑判決が下されました!」と報じられたときは
すぐに刑を執行されると考えて良い、ということですね。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年8月18日 火曜日

弁護士のお仕事 第9回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。

前回までは、広報や事務仕事などを含む
弁護士の実務についてご説明してきました。

今回は、法律の専門家として弁護士が心がけていることを
ご紹介していきたいと思います。
どんな仕事でも業界の動向を把握しておくのは大切なことですが、
弁護士も同じく、日々勉強をしています。
特に、当事務所のような規模の事務所の場合は、
自分の専門領域だけを知っていれば良い、というものではなく
どんな方が相談に来られても対処ができるよう
あらゆる方面にアンテナをはっておく必要があります。

例えば、衆議院のホームページを見てみると、
平成26年2月~6月の5ヶ月間で、100以上の法律が
制定されたことがわかります。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/kaiji186_l.htm
半分以上は「○○法の一部を改正する法律」という
名前からも見て取れるように、もともとあった法律の一部が
改正されたものです。
過去をさかのぼってみても、おおよそ毎年100前後の法律が
制定されていることがわかると思います。

さらに、全国で日々行われている裁判での判決も
法律家にとってはとても大切な情報です。
というのは、日本の裁判では、過去の判例を参考に
判決が出されることが多くあるからです。
裁判に勝つためには、過去の判例についてきちんと知っておくことが
大きな武器になるのですね。

まったく新しい法律や、多くの人に影響のある法律改正、
あるいは世間を騒がせたような大事件なら
新聞やテレビでもニュースになりますが、
日々制定されていくひとつひとつの法律や
毎日行われている裁判の判決については
普段の生活ではあまり意識しないのではないでしょうか。

もちろん、弁護士といえども、すべての法律を
暗記しているわけではありません。
(司法試験では六法を貸してくれるので、
すべてを覚えるのではなく、それを参照しながら
解答を導いていきます)
ですから、何かご相談を受けたときには
その問題に関する法律や判例について新たに調べなおしてから
仕事に臨むことになります。

それでもやはり、日々アンテナをはって様々な情報を得ておくことで
仕事の効率は格段にあがりますし、
新しい法律などは、それが制定された背景を知っておけば
理解度も高まります。
このあたりは、ビジネスマンの情報収集にも似ていると思います。
弁護士も、日々勉強、日々修行、ということですね。

全9回にわたって、弁護士の仕事についてご紹介してきました。
弁護士の日々の仕事について、イメージしていただけたでしょうか。

次回からはまた別のテーマで更新していきたいと思います。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年8月11日 火曜日

弁護士のお仕事 第8回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。

先週まで、弁護士は具体的にどんな相談を受けているのか、
という視点でご紹介してきました。
債務のご相談をはじめ、交通事故、遺産分割などでは
裁判をせずに済むケースが思いのほか多いということが
わかっていただけたでしょうか。

法律事務所に相談にいらっしゃる方のほとんどは
生活の中で誰にでも起こる可能性のある
身近なトラブルを抱えた方です。
こういった身近なトラブルは、過去の事例も多く
「もし裁判をしたらどんな判決が出るか」
ということもある程度予想できることが多いのです。
そのため、あえて裁判をしなくても、
過去の事例や法律の取り決めに従って進めるほうが
時間の面でも費用の面でも、効率が良いのですね。

中でも、交通事故や遺産分割のように、
法律に詳しくないごく普通の方同士でのトラブルの場合には
弁護士という専門家が話し合いに加わることで
一気に解決に近づくことも多々あります。

また、これはあまりイメージにないかもしれませんが
弁護士の仕事というのは、資料を調べたり、書類を作成したりと
地味で根気のいる作業をする時間が実はとても多いのです。

例えば相続手続きについてのご相談があれば、
・遺産の状況の調査(金融機関への問合せなど)
・目録の作成
・戸籍の取得(相続人が何人いるかの調査)
・預貯金の解約手続き
・遺産分割協議書の作成
といった作業をすることになります。
一部は依頼人の方が手続きをしてくださることもありますが、
前回もご紹介したように、こういった手続きは
不慣れな方には大変な労力がいるものですので、
弁護士が代理して行うケースもたくさんあります。

もちろん、法律事務所には事務員もおり、
基本的には事務員と協力して進めます。
とはいえ、一部の手続き(戸籍の取得や預貯金の解約など)は
依頼人の代理として行うために、資格が必要になりますので
事務員だけでは進められないことも多いのです。

毎日複数のご相談を受けながら、その合間にこういった
事務作業を進めていくのは大変なことですが
一つひとつのご相談は、依頼人の方にとっては
人生における重大な出来事でもあります。
依頼人の方の財産や権利をお預かりする仕事、とも言えます。
それだけに、お任せいただいた一件一件に大きな責任を感じ、
また、トラブルが解決し、依頼人の方が安心した表情で
帰っていかれたときは、弁護士も事務員も大きなやりがいも感じます。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年8月 4日 火曜日

弁護士のお仕事 第7回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
さて、今日は相続(遺産分割)に関するご相談という設定で
少し詳しくご紹介します。

3.相続に関するご相談での、基本的なポイント
相続に関するご相談では、亡くなった方の配偶者や子供にあたる方が
相談に来られることが多いです。

まずはじめに次のようなことを確認させていただきます。
・亡くなった人との関係
・遺言があるかどうか
・どのような相続人が、何人いるか(遺産分割の必要があるか)
・負の財産(いわゆる借金)を含め、どのような財産があるか

誰がどのくらいの割合で遺産を相続できるのか、という解説は
インターネットで検索すればたくさんの記事が出てきますので
ここでは割愛するとして、
よくあるトラブルの事例をご紹介しましょう。

A.どのくらいの遺産があるのかよくわからない
親子とはいえ、資産の状況を常に知っているわけではありません。
家族の知らない借金があったり、他人の借金の保証人になっていたり、
といった話はもちろん、もっと身近なところでは、
相続人の一人が通帳を持っているが他の兄弟姉妹に見せてくれない
といった事例もあります。
相続人本人が金融機関や法務局などを訪ねて調査することもできますが、
預貯金、不動産、生命保険など、それぞれに手続きや問合せ先が異なり
知識や経験のない方にとってはとても骨の折れる作業です。
当事務所でも、遺産分割協議の前段階として財産調査を行うことは
よくあります。

B.兄弟姉妹のうち一人が介護をしていたり、資金援助を受けていた
兄弟姉妹といっても、親との関わり方は人ぞれぞれです。
誰かひとりが同居して生前の親の介護をしていたり、
あるいは逆に、学費やマイホーム購入費として資金援助を受けていたり、
ということがあると、遺産分割の際に
「介護をしていたからもっと相続分を増やして欲しい」
「自分は資金援助をしてもらえなかった分、多く相続できるはず」
という主張が出てくるケースは非常に多くあります。

C.「遺産は長男が相続するもの」という誤解
現在の法律では兄弟姉妹の相続分は基本的に平等になっていますが
地域によっては今でもこういった誤解をされている方も
いらっしゃいます。

「うちは財産なんてほとんどないから心配ない」
「家族仲が良いから大丈夫」といった声を
聞くこともありますが、実は、相続トラブルは
財産が小額な場合に起こりやすいという記事もあります。

http://biz-journal.jp/2015/05/post_9882.html

こちらの記事には、
「12年度の最高裁判所のデータによると、
遺産分割で揉めている案件の32%が相続財産1000万円以下、
43%は1000万円超5000万円以下」
とあります。

また、たとえ兄弟姉妹の仲が良かったとしても、
大切な家族をうしなって悲しみに暮れているときに、
冷静に相続の話し合いや事務手続きを済ませるのは難しいものです。
中には提出期限の限られた手続きもありますから
早めに専門家に相談されることをおすすめしています。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

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