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田中ひろし法律事務所のBlog

2015年10月14日 水曜日

個人情報保護法 第2回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
先週は今年のノーベル賞が発表されましたね。
ノーベル文学賞候補として注目される作家の
村上春樹氏のことも、昨年に続いて話題になりました。
その中で、こんなニュースがあったのをご存知でしょうか。

http://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/201510/0008458279.shtml

村上春樹氏の高校時代の読書歴についての報道ですが
その証拠として掲載された図書室の帯出者カードの写真に
他の生徒の氏名が読める状態で写っていたため
神戸新聞や高校側が一部から批判を浴びることもありました。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/fujiiryo/20151009-00050314/

さて、後者の記事の中では、「個人情報」と
「プライバシー」という2つのキーワードが登場していました。
今回は、この2つの言葉の違いについてご説明したいと思います。

前回のブログでご紹介した内容では、個人情報というのは
「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により
特定の個人を識別することができるもの」
ということでした。

それに対して、プライバシーとは
私生活をみだりに公開されないための権利のことで、
この権利によって守られるべき私生活上の情報(本人が公に
していないことで、普通は公開を望まないような情報)を
「プライバシー情報」と呼びます。
これは法律で明確に定義されているものではありませんが
具体的には、身長や体重、スリーサイズ、病歴、
逮捕歴、日常生活、結婚離婚の情報など
自分に置き換えて考えてみると、個人情報の中でも
特に注意して扱うべきものであることがわかりますね。

例えば芸能人などは、身長やスリーサイズを公開している方が
多いですが、これは本人が自ら公開しているもので、
プライバシー情報とはみなされません。
しかし、芸能人とはいえ、他人に知られたくないことが
ないわけではないですから、交際相手や住所などの
本人が自ら公開していない情報については
プライバシー情報であるとみなされることもあるかもしれません。
(ただし芸能人の場合は、職業柄、私生活に関心を持たれることが
あらかじめわかっていますので、プライバシー権侵害であると
認められにくい側面があります。)

今回の場合は、高校名と氏名、おおよその年齢が公開されたことで
その方個人が特定されただけでなく、
その方がどんな本を読んでいるのかが広く世間に公開されてしまった、
ということで「プライバシー」の点から批判の声があがったもの
だったのではないかと思います。

一方で、最近ではプライバシーを過剰に意識するあまり
学校の学級名簿や卒業アルバムが発行できなくなるとか、
緊急時に医療機関への個人情報の提供を拒む、といったことが
起きているようです。
守られるべき大切な権利ではありますが、あまり過剰に
反応しすぎるのも良くないということですね。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所

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