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田中ひろし法律事務所のBlog

2016年3月 1日 火曜日

検察審査会

こんにちは!田中ひろし法律事務所です。
3月に入りました。新年をつい先日迎えたような気がしますが、時が経つのは早いですね。

さて、福島原発事故について、東京電力の旧経営陣が起訴されることになりました。
ヤフーニュースより↓
http://news.yahoo.co.jp/pickup/6192924

今回は、この事件の内容については取りあげないのですが、注目するのは起訴に至る経緯です。今回は、検察審査会の決議によって、起訴するに至りました。本日は検察審査会について、考えていきたいと思っています。

<今回の内容>
1 検察官の権限
2 検察審査会とは?
3 検察審査会は何をするのか?

1 検察官の権限
一般的に、犯罪を犯すと警察などの捜査機関が犯人を逮捕します。
逮捕された段階ではまだ犯人は「被疑者」の段階ですが、検察官の取り調べを受け、被疑者を裁判にかけて有罪となる犯罪事実があり、証拠もあると検察が確信すれば被疑者を起訴することができます。

日本では、起訴する権限は検察官にあります。もちろん、例外もありますが、基本的に起訴できるのは検察官だけです。起訴されると被疑者は「被告人」と呼称が変わります。

2 検察審査会とは?
先ほど、「もちろん、例外もありますが」と言いましたが、その例外の一つに検察審査会というのがあります。

検察審査会は、読んだ通り、「検察」を「審査」する「会」です。
最高裁のホームページに説明があります。↓Http://www.courts.go.jp/kensin/index.html

検察官は被疑者を有罪にする確証があれば、起訴して裁判にかけます。
逆に、確証がなければ不起訴や起訴保留として判断します。となると、被害者としてはせっかく犯人が逮捕されたのに有罪にならずに釈放されるのは納得いかない、という気持ちになります。

検察審査会は、そのような検察官の判断が正しいかどうかをチェックする機関です。
検察審査会は、「選挙権を有する国民の中からくじで選ばれた11人の検察審査員が,検察官が被疑者を裁判にかけなかったことのよしあしを審査しています。」とホームページには説明されています。
つまり、国民が検察官をチェックする形をとっているんですね。ちなみに「昭和23年の法施行から,これまで58万人以上の方が検察審査員又は補充員に選ばれています。」ともホームページに書かれており、検察審査会法という法律が定められていることがわかります。

3 検察審査会は何をするのか?
国民を交えた審査会は、捜査記録等を精査し、決議をします。
決議には大きく3種類あり、「不起訴相当」の決議の場合は、検察官が不起訴にしたのは理由があるとし、検察官の判断を認めることになります。

他に、「不起訴不当」と決議がなされれば、更に詳しく捜査すべきであるとして、検察官に改めて捜査継続する判断をします。
また、「この事件は起訴すべきである」という決議をした場合は、「起訴相当」ということで、検察官は事件について起訴できないか改めて検討しなおします。

さらに、ホームページでは「起訴相当の議決に対して検察官が起訴しない場合には,改めて検察審査会議で審査し,その結果,起訴をすべきであるという議決(起訴議決)があった場合には起訴の手続がとられます。」と説明されています。

検察審査法には「指定弁護士は、速やかに、起訴議決に係る事件について公訴を提起しなければならない」とあります。マスコミ用語では「強制起訴」と言われますが、法律には「速やかに」「しなければならない」と示されています。

今回のニュースでは、東京電力の旧経営陣に検察官は起訴しなかったために、検察審査会にかけられ、「速やかに」起訴されたとということです。

検察官の起訴の権限について、国民目線で一定程度チェックする機関があるということを知っていただきたいと思っています。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所

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