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田中ひろし法律事務所のBlog

2016年2月 7日 日曜日

改めて弁護士過疎偏在問題を考える 第3回

こんにちは!田中ひろし法律事務所です。
さて、今週も弁護士の過疎偏在の問題について考えてみたいと思っております。

第3回 都心の過疎 
<今回の内容>
1 都心特有の問題
2 選択肢が多すぎる
3 費用の問題

1 都心特有の問題
東京だけなく、九州であれば福岡市など都心は弁護士の数が多いです。
熊本県の弁護士は、250名を超えておりますが、福岡県の数は、1100名以上ということで、その差は4倍以上です。
人口比だと、熊本県は180万人で福岡県は500万人なので、熊本だと約7200人にひとりが弁護士で、福岡だと約4500人にひとりが弁護士ということになりますね。
ということは、福岡県は弁護士が多いので、「過疎」の問題はないとも言えます。

確かに、東京であれば、新宿や銀座などは弁護士が少なくて困るという問題はないと思います。弁護士の数は十分すぎるほど足りています。
福岡市でも天神あたりは弁護士事務所の看板は多く、東京の弁護士法人の支店もあります。

企業は都心にオフィスが多いので、企業法務は完全に飽和状態だと思います。いわゆる渉外事務所という言われるものですね。都心において企業法務は、よっぽと専門性がなければ、価格競争に陥るほど競争が激化しています。

では、その都心に住んでいる人はどれだけか?となると、やっぱり周辺から通勤通学しているひとが多いわけで、「弁護士の知り合い」というひとがいるのは都心でも少ないと思われます。

とすれば、TV広告やネット広告などの中から選択することになり、選ぶ作業は結構な負担になるのかと思います。その負担を感じて泣き寝入りする方もいると思います。弁護士へのアクセスは容易とは言えないと思います。

2 選択肢が多すぎる
結論から言いますと、都心の問題は選択肢が多すぎて、最悪の場合弁護士ではなく、知り合いに相談する、というケースがあるように思えます。また、広告のみを信用し、思ったような相談ができなかった、というケースもあるようです。

もちろん、弁護士が一人や二人の地域より、司法サービスへのアクセスという観点では、都心のほうがいいと思います。それを踏まえて問題点を探すと、「選択肢が多すぎる」という点は、市民の方に結構負担になっているのではないでしょうか?

例えば、交通事故の被害にあったときに、「弁護士特約がついていますよ」と保険会社から言われたとします。今だとネットで調べて、弁護士のリストがズラーっと検索結果が出ます。最近だと弁護士の口コミサイトをみるかもしれません。

その過剰な情報の中で、「裁判所に近いほうがいいかな」「初回相談無料」「駅に近い」「なんか有名そう」などの基準で検索しなおすかもしれません。でも、結局友人や知り合いに相談して、紹介のような形で事務所に相談することが多いように思えます。

交通事故であれば知り合いに相談できますが、人に知られたくないこと(弁護士に相談することは総じてプライバシーに関わる事項が多いです)の場合、知り合いを頼ることができず、いわゆる事件屋に相談してしまい、トラブルが余計にこじれることもあります。

都心に弁護士は多いですが、その多く市民の方々が弁護士に相談するところまでたどり着いていないかもしれません。

3 費用の問題
トラブルを抱えているのになかなか弁護士に相談できないのは、やはり費用が高額という問題があると思います。裁判費用はそれなりにかかりますし、そもそもトラブルでお金がない場合もあるのに、さらに出費をするのはためらいます。費用の問題はもちろん都心だけの問題ではないのですが、都心でも経済的に余裕のある方は少なく、選択肢が多い分かえって、問題を複雑化していると思います。

都心は、弁護士の数が多いのですが、弁護士しかできない示談の代理などを無資格で行う事件屋も多いです。費用が払えないとそのような事件屋に流れてしまう都心の方も多いと思われます。

弁護士の少ない地域に比べて、都心にも弁護士の「過疎」の問題があるように思えます。



弁護士過疎偏在問題(今後の予定)
第1回 これまでの日弁連の取り組み
第2回 医師が「少ない」、弁護士が「いない」
第3回 都心の過疎

第4回 地方の特殊性
第5回 自治体連携の可能性

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所

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