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田中ひろし法律事務所のBlog

2016年3月15日 火曜日

司法取引

こんにちは!田中ひろし法律事務所です。
一度は暖かくなったものの、また寒くなったりと、ダウンやコートをクリーニング店にだしていいのかどうか、迷いますね。

毎年、花見で風邪を引いているので、ダウンやコートは4月までいつでも着ることができる状態にしておきたいと思っております。

さて、先週は東京電力旧経営陣が、検察審議会の決定によって起訴されたことについての堀江貴文さんの提言を考えてみました。
堀江さんの懸念は、刑事事件となると旧経営陣は保身のために真実を語らない、ということです。

このような組織がかかわる事件の全容を解明するために昨年から司法取引が日本でも取り入れられようとしています。昨年から国会で審議入りしているのですが、まだ成立してません。今後どうなるんでしょうね!?

とにもかくにも、今回は司法取引について、考えてみたいと思っています。

<今回の内容>
1 司法取引の制度が日本にない理由
2 米ドラマでみる司法取引
3 司法取引が有効な場合

1 司法取引の制度が日本にない理由
司法取引は、イメージ的には、逮捕された麻薬の売人が検察官に「麻薬組織の情報提供や大ボスの犯罪事実を話す代わりに、刑を軽くしてほしい」と取引するようなことです。
もちろん、検察官側から取引を持ち掛けることもあります。

また、共犯者のことを話したり、窃盗でつかまっても、もっと大きい罪のことをはなしたりと、取引の内容は様々です。

司法取引は、弁護士会を中心に、人権保障の観点から反対されてきました。
確かに、検察官もバックの大物を引き出すために無理やり取引させる可能性も高くなるかもしれません。また、被疑者も自らの刑を軽くしたいために、うその内容で取引し、新たな冤罪が発生する可能性もあります。
このような理由で、日本では導入されませんでした。司法取引の制度導入については、問題点を含め、慎重に考える必要があります。

2 米ドラマでみる司法取引
少し視点を海外に向けると、米国の刑事ドラマではよく司法取引のシーンが出てきますよね。米国では、なじみのある制度のようです。
前述の麻薬の売人のケースも、私がみた米ドラマの1シーンです。

また弁護士が主人公のドラマでは、私選弁護人が被疑者に司法取引に応じるよう説得するシーンがあり、仲間を裏切ることができない被疑者はそれに応じようとしません。
弁護人としては、被疑者の刑事免責を取れれば多くの報酬が得られるので、さらに説得します。被疑者の葛藤を描いたシーンです。

米国の司法取引は刑事免責と有罪答弁の2種類があります。
日本の司法取引は刑事免責のイメージが強いですが、実際には有罪答弁のほうが多いようです。後者は事実認定の時間を削減でき、量刑などを決める手続きにすぐに入ることができます。
州によっては、陪審員制を希望するかどうかの選択の際も考慮に入れる必要がありますので、日本よりは複雑です。

3 司法取引が有効な場合
さて、審議された法案の内容はまだ精査していませんが、司法取引は限定されて運用すべきだと考えます。
前述したようなデメリットを踏まえる必要がありますが、個人的には麻薬事件や汚職事件などの組織犯罪のような場合には、司法取引は有効だと考えます。

東電の旧経営陣の起訴についても、もし司法取引制度で運用されると真実発見につながる可能性が高いと思います。
難しいのは、そうなると被害者の方の気持ちですね。刑が軽くなったら、いやな気持をする方もいらっしゃるかと思います。
その点は、これからの制度の課題になるかもしれません。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所

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