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田中ひろし法律事務所のBlog

2016年1月24日 日曜日

改めて弁護士過疎偏在問題を考える 第1回

こんにちは!田中ひろし法律事務所です。
大寒波到来ということで、熊本でも雪が積もりました。全国ニュースで、都心で駅が人であふれている映像をみると、都市は本当に雪に弱いなと感じてしまいます。
加えて、熊本では交通手段が車の方が多く、雪によるスリップ事故も見受けられます。ほとんどがチェーンなど雪対策を行ったことのないドライバーが多いと思われ、雪でもタイヤにチェーン措置せずに運転してしまいがちですね。
雪が積もらない印象の九州とはいえ、ここ数年でも雪が積もったことがあるので、対策を行いたいものです。

さて、今週から弁護士の過疎偏在の問題について考えてみたいと思っております。
医師不足の問題はニュース等でご存知の方も多いのではないでしょうか?
法律トラブルも都心だけでなく、全国津々浦々発生します。離島だろうと、限界集落だろうと、ひとが生活すればそれだけトラブルも発生します。
医師不足問題との相違を踏まえて、弁護士過疎偏在問題について、5回にわたってブログを書いてみたいと思っています。

弁護士過疎偏在問題(今後の予定)
第1回 これまでの日弁連の取り組み
第2回 医師が「少ない」、弁護士が「いない」
第3回 都心の過疎
第4回 地方の特殊性
第5回 自治体連携の可能性

第1回 これまでの日弁連の取り組み 

<今回の内容>
1 公設事務所
2 日弁連の取り組み歴史
3 現状


1 公設事務所
代表弁護士の田中裕司が、先日沖縄に行ってきました。沖縄の石垣島に公設事務所ができて、もう10年になるそうです。
田中ひろし法律事務所の前身は「玉名ひまわり基金法律事務所」です。このような「○○ひまわり基金法律事務所」というのは、一般的に公設事務所と言われます。
公設事務所というのは、日弁連等から支援を受けて事務所開設や運営を行っている法律事務所のことです。

(参照)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/resolution/counsel/kaso_taisaku/himawari.html

福岡で弁護士をしていた田中裕司は、地元で事務所を開きたいと思っておもっていた時に、この公設事務所の制度を知り、弁護士が1名しかいなかった熊本県の玉名地域に、公設事務所を開設しました。2004年のことです。

2 日弁連の取り組み歴史
日弁連のホームページをみますと、1996年から弁護士過疎偏在の問題に取り組み始めました。
(参照)
http://www.nichibenren.or.jp/activity/resolution/counsel/kaso_taisaku.html

当時は弁護士はまだ人数が少なく、人が多い都心で仕事を行っている先生が多くいました。しかし、20年前から都心への過剰な集中は問題になっていたようです。
ただし、弁護士も大半が自営業にですので(最近は法人化して勤務形態が変わっていますが)、弁護士がいないところに行ってやりなさいと言われても、尻込みしてる状況でした。
人口が少ないところで事務所を運営できるのだろうか?というリスクを感じている弁護士に対して、1999年に「日弁連ひまわり基金」が発足し、この基金から設立費用等を貸与することで、リスクを少しでも減らす動きが始まりました。
当時に、各都道府県や地方裁判所支部単位で「法律センター」を開設し、のちの法テラス開設の動きにつながります。
基金による経済的支援によって、特に若手弁護士が全国の弁護士過疎地域に公設事務所を設立しました。

3 現状
その後2014年までに、累計113ヶ所の公設事務所が設立され、そのうち48事務所がその地に残り新たに自らの事務所として定着しています。
弊所でいいますと、2004年に玉名ひまわり基金法律事務所として開設しましたが、玉名地域でもっと活動していきたいということで、2007年に田中ひろし法律事務所としてスタートすることになりました。
その地域で定着すると、ほかの弁護士も事務所を設立し、過疎問題は解消しつつあります。

2000年からの10年間でほぼ全国に公設事務所が開設されました。
この間、弁護士事務所のCMも始まり、タレント弁護士の活躍や、経済的に余裕のない方にも利用できる法テラスの始動など、地方の方でも弁護士の存在が身近になったのではないでしょうか?

このように弁護士過疎の問題は一定程度成果がでましたが、偏在の問題はまだ解消されず、また、新たな地方の問題も出てくるようになりました。
次回は、医師不足と比較しながらこのような問題について、述べていきたいと思います。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2016年1月13日 水曜日

官報を有効利用

2016年を迎え、しばらく日にちが経ちましたが、改めて明けましておめでとうございます。
本年も引き続き、田中ひろし法律事務所をよろしくお願いします。
さて、新年になるといろいろ新しいことが始まりますが、法律事務所においては別の意味で「新年」を迎えることになります。特に1月と4月ですが。

それは、法改正や新法です。
法律事務所としては、新しい法律については、常にアップデートしていく必要がありますので、新しい法律が施行されることが多い1月や4月は事務所として注視する必要があります。

国会で法案が成立すると、一定期間おいてからその法案に伴う法令が施行されます。
しかし、成立された法案は多く、直近の通常国会(約8か月の期間)では、78件です。(内閣法制局のウェブサイト)
それらを事務所単位で追っていくのは大変ですが、政府が「官報(かんぽう)」というものを発行しているので、どんな法改正等があったのかを知ることができます。
近年はネットでも見れるので、非常に便利になりました。

今回のテーマは官報についてです。

<今回の内容>
1 官報を読んでみよう
2 インターネット版「官報」が便利
3 ビジネスや相続に活用


1 官報を読んでみよう
さて、この官報ですが、一言で表すと「政府の機関紙」です。
ただし、企業の広報誌のようなものではなく、淡々と硬い文章が書かれているだけのものです。
どこで入手できるかというと全国の官報販売所というところで、販売しています。
熊本だと上通りのまるぶん書店さんですね。販売、ということでご察しの通り、有料です。

この官報は法令の公布だけではありません。意外と皆さんの身近に必要な情報が記載されています。
公務員の人事もそのひとつで、弁護士になるために必要な司法試験の合格発表も官報に記載されます。
いくつかピックアップすると、叙勲や政府調達、裁判所の公告としての破産等、会社の決算公告などです。
新聞やテレビで報じられる場合の情報源になるものあるので、官報をチェックすると世の中の動きが少しわかってくるかもしれません。

2 インターネット版「官報」が便利
その官報ですが、最近はネットで一部が無料で公開されています。
https://kanpou.npb.go.jp/
ちょっと1月4日の本紙を覗いてみると・・・・
・厚生年金保険法施行規則等の一部を改正する省令
・新型インフルエンザ等対策措置法・・・事業者の登録に関する規定の一部改正する件
・平成28年度の肉用子牛の保証基準価格を定めた件
・裁判所の相続、失踪など
・会社その他

一部だけですが、上記の項目はニュースで出ている内容に関することもあるようですね。
ネットで公開されているので、非常に便利ですよね。ぜひ一度覗いてみてはいかがでしょうか?

3 ビジネスや相続に活用
さて、官報にはニュースとなるようなものだけでなく、皆さんの身近かに必要な情報も記載されています。
企業の破産などや企業の合併・決算など、小規模の企業の情報も記載されています。
このような情報は当事者には通達や通知などがあると思いますが、一般には知らされてはいません。
官報を通じてこのような重要な情報を入手できる場合があります。もちろん、大半は関係ない情報かもしれませんが。

また、相続についての情報も記載されております。主に相続財産管理人の選任などですが、
皆さんの知り合いが出ている場合もあるかもしれません。
相続人なのに、漏れている場合もあるかもしれませんので、チェックしておくとまれに役立つかもしれませんね。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年12月23日 水曜日

お酒にまつわる法律 第3回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
年末年始、ホームパーティを開く方も多いと思います。
料理自慢の方にとっては、腕の見せ所として
楽しみな時期でもあるのではないでしょうか。
パーティにかかせないお酒も、自家製のものだと
ぐっと本格的になりますね。
今回は自家製のお酒に関する法律について
ご紹介していきます。

1.お酒をつくるには、免許が必要
お酒に「酒税」という税金がかかっていることは
皆さんもご存知かと思います。
この税金をきちんと徴収するために、法律では
お酒をつくる人に対して「酒類製造免許」を取得するように
取り決めています。
もし、この免許がない状態でアルコール分1%以上のお酒をつくると
「密造酒」とみなされて、10年以下の懲役又は
100万円以下の罰金が科せられます。
しかも、この免許は誰でも簡単に受けられるものではありません。
1年あたりのお酒の製造量が、ビールや清酒なら60キロリットル以上、
果実酒やウイスキーなら6キロリットル以上必要になります。
とても個人でつくることはできない量ですね。

2.お酒に他のものを混ぜてもダメ!
さらに、購入したお酒に別のものを混ぜる行為(混酒)も
基本的には禁止されています。
ただし例外として、家庭や飲食店で、お酒を消費する直前に
行う場合は良いということになっています。
カクテルやソーダ割りなどは、すぐに飲むなら免許がなくても
作って良いということですね。

3.自家製梅酒はどうなるの?
ここで、
「家で梅酒を漬けるのは法律違反なの?」
と思われる方がいるかもしれません。
お酒に梅や砂糖を混ぜて、数ヶ月保管したものは
先ほど紹介した例外に含まれるようには思えないですね。
実は梅酒をはじめとした漬け込み酒づくりも例外のひとつで、
・自家消費用であること
・20度以上の蒸留酒を使うこと
・混ぜた後にアルコールが新たに1度以上発酵しないこと
 (アルコール分が増えないこと)
・法律で規定されたものを混ぜないこと
という条件を守っていれば良いということになっています。
最後の「法律で規定されたもの」とは
米、麦、あわ、とうもろこしなどの穀物やこれらの麹、ぶどう、
アミノ酸やその塩類、ビタミン類、色素、香料などたくさんありますが
一般的な作り方で梅酒や杏酒をつくる場合は問題ありません。
ただし、自家製梅酒でも、人に売ることはできません。
お酒の販売には「酒類販売免許」という別の免許が必要だからです。

4.では、サングリアは?
梅酒のほかに、ここ数年流行している「サングリア」はどうなのでしょうか?
サングリアとは、ご存知の方も多いと思いますが
ワインに果物や砂糖、果物ジュースなどを入れたもので
スペインやポルトガルで親しまれているお酒です。
一般に販売されているワインのアルコール度数は15度前後ですから
作ってすぐに飲むカクテルとしてならばOKということですね。
ネット上では、果物などを混ぜたあとに1晩~1日置くようなレシピや、
自宅でつくったものをバーベキューなどのアウトドアで
楽しむようすすめるような記事を見かけることがありますが、
これは気をつけたほうがよさそうです。

ホームパーティでは、自家製果実酒をお客さんにふるまったり
オリジナルカクテルをつくることもあると思います。
皆で楽しい時間を過ごすためにも、法律違反にならないように
気をつけてくださいね。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年12月12日 土曜日

お酒にまつわる法律 第1回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
12月になり、今年も残すところあとひと月です。
年末年始はクリスマスに忘年会、新年会など、お酒を飲む機会が
増えますね。
普段は飲む習慣がなくても、
「クリスマスは特別に...」
「親戚との新年会くらいは...」
と、この時期だけは口にするという方もいらっしゃるのでは
ないでしょうか。
というわけで、今回は、お酒にまつわる法律について
ご紹介してみたいと思います。

1.お酒は二十歳になってから!
みなさんご存知の通り、日本ではお酒を飲めるのは
20歳になってからです。
1月には成人式があり、新成人が集まってお酒を飲んでいる姿を
見かけることもありますが、法律上はあくまでも
「20歳になったかどうか」が基準になります。
成人式は学年単位で参加することがほとんどですが
2月生まれ、3月生まれの新成人は、いくら同級生が
楽しそうに飲酒していても、まだお酒を飲んではいけません。

2.提供者も罰せられる!?
たとえば居酒屋やコンビニなどで「私は20歳です」と言うお客さんに
お酒を提供したとします。
もし、このお客さんが実は未成年だった!ということがわかれば
提供したお店側が罰せられることになります。
(これは「未成年者飲酒禁止法」という法律で定められていますが
「未成年者にお酒を飲ませてはいけない」という趣旨の法律であるため
飲酒した本人が罰せられるわけではないのがポイントです)
お店で働く人はもちろん、一緒に飲み会に参加する人も
「この子は本当に成人しているのかな?」と思ったら
身分証を見せてもらうなど、きちんと年齢確認すべきですね。

3.強要すると罪に問われることも
近年、セクハラやパワハラなどをはじめとして、
○○ハラスメントという言葉をいくつも耳にするようになりました。
このうちのひとつ、アルコールハラスメントは
年末年始や年度初めの時期によく聞きますね。
日本人には、体質的にお酒がまったく飲めない人や、
飲めても少量ですぐに眠ってしまったり、具合が悪くなったり
する人も少なくありません。
また、お酒を飲める人でも、健康上の理由で禁酒していたり、
「自分は酒癖が悪いから、人前で飲むのはやめよう」
「明日は朝早く車を運転するから、今夜は飲まないでおこう」
と自重していることもあります。
そういう人にお酒を強要すると、人間関係を壊すだけでなく
法律上は、強要罪や過失傷害罪などの罪に問われる可能性もあります。
また、一緒に飲んでいた友達が酔いつぶれてしまったとき
もし道端などに放置して帰ってしまったら、保護責任者遺棄罪になる
可能性があります。
たとえ酔っ払っていても、友達の介抱は忘れないでくださいね。

さて、お酒にまつわる基本的な法律を整理してみました。
次回以降は、すっかり定番になった「飲酒運転」の話題や
「自家製のお酒」にまつわるお話をしていきたいと思います。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年12月 2日 水曜日

ADR(裁判外紛争解決手続) 第5回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
前回に引き続き、
「街頭で声をかけられたのをきっかけに購入した絵画に関する紛争」
について見ていきたいと思います。
申請人と相手方の主張は前回のブログをご覧ください。
今回は、その後、国民生活センター紛争解決委員会の委員が
間に立って行われた話し合いについてまとめていきます。

話し合いにおける双方の主張をまとめると
以下のようになります。

まず、問題となっているリーフレットについては、
それぞれ次のような主張がありました。
・相手方事業者:街頭で声をかけた際に渡したリーフレットに絵画の販売目的等を明記しており、申請人もそれを十分承知しているはず
・申請人:展示会場までは街頭で声をかけてきた女性が付き添っており、渡されたリーフレットの記載内容が目に触れる機会はなかった

また、展示会場に入ったことについても、申請人は
・展示会場は絵画の販売会場のようには思えず、絵画の販売が目的であるようには認識できなかった
と主張しています。

ここでも双方の意見は一致しませんね。
街頭や展示会場でのやりとりについては、証拠となるものも少なく
認識の違いを解消することは難しそうです。
しかし、この問題に早く決着をつけたい、という気持ちは
お互いに共通のはずです。
そこで、早期解決を図るため、
「相手方事業者が商品代金のうち95万円を申請人に返還し、
申請人は本件商品を相手方事業者に返送する」
という和解案が紛争解決委員によって提示されました。
結果、両当事者がこれを受け入れ、和解が成立したそうです。

支払ったのは100万円ですから、全額とはいかなかったものの
95%の金額は戻ってきたことになりますね。
もし、申請人の方が、クーリングオフが受付られなかったことで
諦めてしまっていたら、どうなっていたでしょう。
相手方としても、表沙汰にすることなく短期間で解決できたことで
かえって助かった、という面があったのではないかと思います。

ADRのポイントは、第三者である仲介人が
和解案を提示する点にあります。
もし、これを裁判等で解決しようとすると
「本当に執拗な勧誘があったのか?」「その証拠は?」
と、ひとつひとつの事柄について証拠を集めたり
それをまとめた資料を作成したりといった時間がかかり
解決までにもっと長い時間と手間がかかったと想像できます。
今回の場合は、執拗な勧誘があったかどうかや
1つひとつのやりとりの詳細を調べることそのものは
申請人にとっても相手方の事業者にとっても
さほど重要ではなかったのではないでしょうか。
ADRでは、こういった詳細をいったん脇に置いて、
「お互いが納得するための落とし所」を探ることに
力を注ぐことができるわけですね。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

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