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田中ひろし法律事務所のBlog

2015年10月20日 火曜日

個人情報保護法 第3回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
今回は、個人情報保護法で義務とされている事項などについて
ご紹介していきたいと思います。
前々回のブログにもあったように、法律の対象は
「個人情報を取り扱う事業者」です。
法律では、この事業者に対して、主に次のようなことを
定めています。

1.個人情報の利用目的を特定し、公表すること
 よく、個人情報を登録する際の記入用紙や入力画面などで
 「当サービスでは個人情報を商品の発送や○○、○○などに
  利用します。」といった文言を見かけますが
 これは法律の定めに従って記載されているのですね。

2.個人データを正しく管理・利用し、特定の場合を除いて
 本人の同意なしに第三者に提供しないこと

 事業者としては最も力を注ぐ部分ですね。
 近年では、事業者や業務委託先の従業員など
 内部からの流出事故、漏洩事件が半数以上を占めることもあり
 組織体制の整備から、セキュリティ強化のための技術的対策まで
 さまざまな対策がされているようです。
 
3.本人の求めに応じて、利用目的の通知や
 個人データの開示・訂正・利用停止を行うこと

 もし事業者が、利用目的外の目的に個人データを利用しているとか、
 適切な方法で取得された個人データではないといった場合、
 本人の求めに応じてデータを訂正・削除したり
 利用を停止しなければならないと法律にきちんと定められています。
 
4.本人の権利にきちんと対応すること
 前項で、訂正・削除や利用停止の求めに応じなければならないと
 していますが、もしそれに応じない場合は、その理由を
 説明するよう努めなければいけないことになっています。
 ただし、そのための窓口を指定したり、手続き方法をどうするか
 については、本人に過度な負担をかけない範囲で、
 事業者が定めることができます。

5.苦情の適切かつ迅速な処理に努め、そのための体制の整備に
 努めなければならない

 苦情にきちんと対応してもらえなかったり、
 窓口が設置されていないといった場合は、事業者側が
 努力を怠っているということになりますね。


通信販売やSNSなど、個人情報を登録して利用するサービスが
急速に増えている昨今、生活が便利になる一方で、
「法律があるとはいえ、このサービスは本当に大丈夫だろうか?」
と不安になることもあるかと思います。
利用目的の表示がされているか、相談窓口が設置されているかなどは
新たなサービスを利用する際の参考になりますね。

また、個人情報保護のための体制がきちんと整っているかを
判断するための基準として、JIS規格の「JIS Q 15000」や
「ISMS」「プライバシーマーク」といった第三者認証があります。
こういった基準を満たしているかということも
チェックしておくと良いかもしれません。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年10月14日 水曜日

個人情報保護法 第2回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
先週は今年のノーベル賞が発表されましたね。
ノーベル文学賞候補として注目される作家の
村上春樹氏のことも、昨年に続いて話題になりました。
その中で、こんなニュースがあったのをご存知でしょうか。

http://www.kobe-np.co.jp/news/bunka/201510/0008458279.shtml

村上春樹氏の高校時代の読書歴についての報道ですが
その証拠として掲載された図書室の帯出者カードの写真に
他の生徒の氏名が読める状態で写っていたため
神戸新聞や高校側が一部から批判を浴びることもありました。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/fujiiryo/20151009-00050314/

さて、後者の記事の中では、「個人情報」と
「プライバシー」という2つのキーワードが登場していました。
今回は、この2つの言葉の違いについてご説明したいと思います。

前回のブログでご紹介した内容では、個人情報というのは
「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により
特定の個人を識別することができるもの」
ということでした。

それに対して、プライバシーとは
私生活をみだりに公開されないための権利のことで、
この権利によって守られるべき私生活上の情報(本人が公に
していないことで、普通は公開を望まないような情報)を
「プライバシー情報」と呼びます。
これは法律で明確に定義されているものではありませんが
具体的には、身長や体重、スリーサイズ、病歴、
逮捕歴、日常生活、結婚離婚の情報など
自分に置き換えて考えてみると、個人情報の中でも
特に注意して扱うべきものであることがわかりますね。

例えば芸能人などは、身長やスリーサイズを公開している方が
多いですが、これは本人が自ら公開しているもので、
プライバシー情報とはみなされません。
しかし、芸能人とはいえ、他人に知られたくないことが
ないわけではないですから、交際相手や住所などの
本人が自ら公開していない情報については
プライバシー情報であるとみなされることもあるかもしれません。
(ただし芸能人の場合は、職業柄、私生活に関心を持たれることが
あらかじめわかっていますので、プライバシー権侵害であると
認められにくい側面があります。)

今回の場合は、高校名と氏名、おおよその年齢が公開されたことで
その方個人が特定されただけでなく、
その方がどんな本を読んでいるのかが広く世間に公開されてしまった、
ということで「プライバシー」の点から批判の声があがったもの
だったのではないかと思います。

一方で、最近ではプライバシーを過剰に意識するあまり
学校の学級名簿や卒業アルバムが発行できなくなるとか、
緊急時に医療機関への個人情報の提供を拒む、といったことが
起きているようです。
守られるべき大切な権利ではありますが、あまり過剰に
反応しすぎるのも良くないということですね。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年10月 6日 火曜日

個人情報保護法 第1回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
週末、阿蘇郡西原村の職員が住民の個人情報を
持ち出したという報道がありました。
ちょうど今月からマイナンバーの通知が始まるということもあり、
個人情報の保護についての関心も高まっていますね。

内閣府ではマイナちゃんという可愛らしいうさぎの
イメージキャラクターも使って、広報をすすめているようです。
マイナンバー制度の解説ページにもマイナちゃんが登場していますね。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/bangoseido/gaiyou.html

さて、マイナンバー制度と関連して必ず話題に上る
「個人情報保護」についてですが、今回は法律の面から
おさらいをしていきたいと思います。

個人情報保護法が日本で全面施行されたのは2005年、
いまから10年前のことでした。
個人情報保護法には個人情報の定義について

「生存する個人に関する情報であって、
当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により
特定の個人を識別することができるもの
(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を
識別することができることとなるものを含む。)」

とあります。
氏名や生年月日などはもちろん、個人の特定という点で考えると
電話番号、メールアドレス、facebookやtwitterといった
SNSのアカウント、写真なども慎重に取り扱う必要が
ありそうですね。

ここで
「じゃあ、友達のFacebookを他の友達に紹介するのもダメなの?」
と不安になられた方がいらっしゃるかもしれません。
もちろん、本人の承諾なく他人にSNSのアカウントを教えるのは
人間関係の面からあまりおすすめできることではありませんが
個人情報保護法の視点から見れば、個人同士でのやりとりが
問題になることはまずありません。

というのは、個人情報保護法は、個人情報を取り扱う「事業者」に対して
個人情報を適切に取り扱うよう定める法律だからです。
会社や団体などで、その事業のために個人情報を扱い、
たくさんの個人情報をデータベースとして保有している場合に
個人情報保護法の対象になるということです。

私たち自身が個人情報保護について気をつけるべきことは
・自分の個人情報を提供する際、提供する先で個人情報が適切に扱われているか
・自分の仕事上で、会社の保有する個人情報を漏洩しない
という視点で考えると良いと思います。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年9月29日 火曜日

判決の読み方 第5回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
前回ご紹介した終身刑や死刑は、基本的には
その後、刑務所から出てくることはないはずですが
実際には絶対に出所できないというわけではありません。
仮釈放という制度があるからです。
数ヶ月前、テレビにコメンテーターとして出演していた弁護士が
「無期懲役でも15年くらいで仮釈放になることがある」
というような趣旨の発言をしたことでも話題になりました。
気になっているという方も多いのではないでしょうか。

本当に15年で仮釈放になるのか?という点については、ネット上でも
複数の方が詳しい解説をされていますので、ここでは割愛します。

記事を読まれていない方のために簡単にまとめると

・無期刑の受刑者で実際に仮釈放された人の平均の受刑期間は30年以上
・きちんと更生していない受刑者の仮釈放は許されない可能性が高い
・無期刑の受刑者のほとんどは獄死していて、仮釈放が許されるのはごく少数

といった内容で、再犯の可能性の高い受刑者が
簡単に仮釈放されるということはまずなさそうです。
※上の要点は、主に弁護士ドットコムの以下のページを参考にしました。
http://www.bengo4.com/c_1009/c_19/n_3280/

この仮釈放、今回は無期懲役と関連して話題となりましたが
無期刑や死刑の場合だけの制度ではありません。
最近では、2013年に堀江貴文さん(世間ではホリエモンと
呼ばれることが多いですね)が仮釈放となりました。
判決の「懲役2年6か月」のうち、最後の約7ヶ月ほどは
刑務所の外で暮らしていたことになります。

仮釈放はあくまで仮の釈放ですから、刑期が満了するまでの間は
保護観察がつき、生活にも制限があります。
例えば、決められた頻度で保護司と面談をすることや
長期間の旅行は事前に保護監察官や保護司に申告すること、
などです。
また、保護観察中に何か罪を犯せば、その罪の重さにかかわらず
また刑務所に戻ってもとの刑期までを過ごすことになります。


今月は、判決の読み方、というテーマで、ニュースでもよく聞くような
基本的な言葉の意味をご紹介してきました。
いかがでしたでしょうか。
刑罰の内容は、その名称からもなんとなく想像がつきますが
執行猶予や仮釈放などの制度についても知っておくと
ニュースの見方も少し変わるのではないかと思います。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年9月15日 火曜日

判決の読み方 第4回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
今回は無期刑と死刑についてです。

無期刑とは、文字通り、期限が決められていない
懲役や禁固のことで、死刑の次に重い刑とされています。
といっても、現在の日本の法律では無期懲役でも10年を過ぎると
仮釈放の申請ができるようになるため、絶対に一生
刑務所から出られない、というわけではありません。
(仮釈放については、次回、ご紹介したいと思います)

死刑については、先進国では撤廃されている国も多く、
日本でもそうすべきだといった議論もありますね。
死刑制度そのものの是非はともかくとして、
執行には法務大臣(現職は上川陽子大臣ですね)の
命令が必要なので、執行されるかどうかは
そのときの法務大臣の考えにも左右されます。

例えば、ここ5年ほどの法務大臣と、死刑執行命令を出した回数を
並べてみると次のようになります。
それぞれ、在職期間も異なりますが、0回という大臣も
半数近くになっています。

江田五月 (2011年1月14日就任/民主党) 0回
平岡秀夫 (2011年9月2日就任/民主党) 0回
小川敏夫 (2012年1月13日就任/民主党) 3回
滝実   (2012年6月4日就任/民主党) 4回
田中慶秋 (2012年10月1日就任/民主党) 0回
滝実   (2012年10月24日就任/民主党) 0回
谷垣禎一 (2012年12月26日就任/自民党) 11回
松島みどり(2014年9月3日就任/自民党) 0回
上川陽子 (2014年10月21日就任・在任中/自民党) 1回
※Wikipediaより
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B3%95%E5%8B%99%E5%A4%A7%E8%87%A3
Wikipediaではもう少し詳しい情報も掲載されています。

ですから、死刑という判決が下されても、その後
すぐに執行されるわけではなく、最近では、何年も執行を
待つうちに病気で亡くなってしまうこともあるようです。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

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