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田中ひろし法律事務所のBlog

2015年9月 8日 火曜日

判決の読み方 第3回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。

刑事事件の刑罰のうち、身体の自由を奪う罰には

・拘留(30日未満、刑事施設に拘束される)
・懲役(刑務所に拘束され、刑務作業を行う)
・禁固(拘束されるが、刑務作業は行わない)

の3つがあります。
死刑は、身体の自由というよりは、生命そのものを
奪われることとなるので、ここでは別のものとして扱います。

さて、これら、身体の自由を奪う刑の目的は
大きく3つあります。
1つは、犯罪者を一般世間から隔離することで社会の平和を保つこと。
2つめは、犯罪者を隔離し、被害者による報復や世間の差別から保護すること。
3つめは、長い期間に渡って自由を奪うことで、犯罪を抑止すること。

このほか、懲役の場合は刑務作業を行わせることで
犯罪者に反省を促し、社会復帰の助けとしています。

拘留は、1日~29日の範囲で刑事施設に拘束されることです。
「刑事施設に拘束される」という面は禁固と同じですが
期間のほかに、執行猶予がつくかどうかという点も異なります。
また、拘留、禁固ともに、刑務作業はありませんが
本人が希望すれば、作業を行うことができる場合もあります。

拘留になる可能性がある主な罪は、
公然わいせつ罪、暴行罪、侮辱罪などです。
(もちろんほかの刑罰になることもあります。)
とはいえ、実際に拘留が言い渡されるケースは
最近では毎年100件以下と、あまり多くないようです。

また、禁固と懲役の大きな違いは、刑務作業を行うかどうかです。
ただし、前述の通り、禁固の場合でも本人が希望すれば
作業を行うことができ、実際に、受刑者の多くは
自ら願い出て作業を行うそうです。
反省のため、ということもあると思いますが
自由に外に出られない状況で、ただじっとして日々を過ごすよりは
何か作業をしているほうが、気分的にも良いのかもしれませんね。

拘留、禁固、懲役について表にまとめると以下のようになります。

  拘留 禁固 懲役
刑務作業 希望があれば 希望があれば 必須
期間 1~29日間 1ヶ月以上
無期の場合も
1ヶ月以上
無期の場合も
執行猶予 つかない つく
ただし3年以下
つく
ただし3年以下
主な罪 公然わいせつ罪
暴行罪
侮辱罪 など
政治的犯罪や
過失犯など
殺人、傷害、窃盗
などをはじめ、多数

次回は、無期刑と死刑についてご紹介します。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年9月 2日 水曜日

判決の読み方 第2回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。

さて、刑事事件の刑罰には、主に次の6種類があります。

・科料(1万円未満のお金を支払う)
・拘留(30日未満、刑事施設に拘束される)
・罰金(1万円以上のお金を支払う)
・懲役(刑務所に拘束され、刑務作業を行う)
・禁固(拘束されるが、刑務作業は行わない)
・死刑(生命を奪われる)

刑事事件と民事事件の違いは、詳しく説明すると
難しくなりますので、ここでは、
「罪を犯した人に対して、国が罰をくだす」ものを刑事事件
「個人と個人の間での争い」を民事事件ととらえていただければ
良いかと思います。

さて、話を戻して、刑罰の種類を見てみましょう。
たとえば、「罰金」と「科料」、上記の説明では
単純に金額が違うだけに見えますが
他にも細かい違いがあります。
表にまとめてみましょう。
  罰金 科料
金額 1万円以上 1000円以上、1万円未満
市町村役場の犯罪人名簿に 記載される 記載されない
納められない場合は 労役場に留置され、労務に服する(期間は最長2年間)  労役場に留置され、労務に服する(期間は1日以上30日以下)
執行猶予 つく(但し50万円以下) つかない

金額のほか、大きな違いは、犯罪人名簿に記載されるかどうかと
執行猶予がつくかどうか、ということでしょうか。

少し話がそれますが、犯罪人名簿とは、市区町村が
主に選挙人名簿を作成するために管理しているものです。
選挙人名簿の作成に犯罪の履歴がなぜ必要かというと、
過去に犯した罪によっては、選挙権・被選挙権が停止される
と、公職選挙法に定められているからです。
詳しくはまた別の機会にご紹介しますが、
罰金刑になったからといって、必ず選挙権がなくなる、
ということではありません。

執行猶予については、前回ご紹介したとおりですね。

さて、科料にしろ罰金にしろ、支払う能力がない場合は
「労役場に留置され、労務に服する」とありますね。
1日の労務がいくらになるのかは、裁判官が決めることに
なっており、科料または罰金の金額に達するまでの日数、
軽作業などを行うことになります。
罰金のうち一部を事前に支払っていれば、その分
日数は少なくなります。
とはいえ、労役場に留置するのにも
経費(食費や光熱費、労役場の人件費など)がかかりますので
検察庁としては、分割納付や親族等による立て替えなどで
できるだけ現金で徴収するようにしているようです。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年8月27日 木曜日

判決の読み方 第1回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
ニュースを見ていると、痛ましい事件があとを絶たないですね。
大阪府高槻市の事件では、容疑者に過去に逮捕歴が
あったことも話題になっています。
一度は逮捕されたのに、また事件を起こす人がいるのか...
と、不安になられる方も多いのではないでしょうか。

そこで、今週は、裁判で有罪となった場合の判決から
その後、被告人がどうなるのかを知る際のポイントを
ご紹介したいと思います。

たとえば、「懲役3年、執行猶予5年」という判決の場合、
被告人は刑を受けないままになるかもしれない、ということは
ご存知でしょうか?
前半の「懲役」という単語が印象に残って、刑務所に入るものと
誤解されている方も少なくないようです。

執行猶予について詳しい解説は裁判所ホームページにも
掲載されています。
http://www.courts.go.jp/saiban/qa_keizi/qa_keizi_28/

要約すると、執行猶予がついていると、
・被告人が直ちに刑が執行されることはない
・執行猶予の期間内に被告人が再び罪を犯したりすると、
 執行猶予が取り消され、刑を執行される
・再び罪を犯したりすることなく、その猶予の期間を無事に
 過ごしたときは、刑の言渡しそのものが効力を失い、
 その刑の執行を受けることはない
ということになります。

執行猶予というのは、被告人が自分の罪を心から反省し、
今後は罪を犯すことがないだろう、というときにつけられるもので、
執行猶予がつけられるためには
・被告人に前科がないこと
・3年以下の懲役・禁錮又は50万円以下の罰金を言い渡すとき
という条件もあります。

つまり、「懲役3年、執行猶予5年」というのは、
本当は3年間懲役する必要があるくらいの罪を犯したけれども、
執行猶予の期間中、まじめに生活をしていれば
刑務所には入らなくて良いですよ、という意味になります。

反対に、執行猶予のない刑を「実刑」と言います。
ニュースなどで「実刑判決が下されました!」と報じられたときは
すぐに刑を執行されると考えて良い、ということですね。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年8月18日 火曜日

弁護士のお仕事 第9回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。

前回までは、広報や事務仕事などを含む
弁護士の実務についてご説明してきました。

今回は、法律の専門家として弁護士が心がけていることを
ご紹介していきたいと思います。
どんな仕事でも業界の動向を把握しておくのは大切なことですが、
弁護士も同じく、日々勉強をしています。
特に、当事務所のような規模の事務所の場合は、
自分の専門領域だけを知っていれば良い、というものではなく
どんな方が相談に来られても対処ができるよう
あらゆる方面にアンテナをはっておく必要があります。

例えば、衆議院のホームページを見てみると、
平成26年2月~6月の5ヶ月間で、100以上の法律が
制定されたことがわかります。
http://www.shugiin.go.jp/internet/itdb_housei.nsf/html/housei/kaiji186_l.htm
半分以上は「○○法の一部を改正する法律」という
名前からも見て取れるように、もともとあった法律の一部が
改正されたものです。
過去をさかのぼってみても、おおよそ毎年100前後の法律が
制定されていることがわかると思います。

さらに、全国で日々行われている裁判での判決も
法律家にとってはとても大切な情報です。
というのは、日本の裁判では、過去の判例を参考に
判決が出されることが多くあるからです。
裁判に勝つためには、過去の判例についてきちんと知っておくことが
大きな武器になるのですね。

まったく新しい法律や、多くの人に影響のある法律改正、
あるいは世間を騒がせたような大事件なら
新聞やテレビでもニュースになりますが、
日々制定されていくひとつひとつの法律や
毎日行われている裁判の判決については
普段の生活ではあまり意識しないのではないでしょうか。

もちろん、弁護士といえども、すべての法律を
暗記しているわけではありません。
(司法試験では六法を貸してくれるので、
すべてを覚えるのではなく、それを参照しながら
解答を導いていきます)
ですから、何かご相談を受けたときには
その問題に関する法律や判例について新たに調べなおしてから
仕事に臨むことになります。

それでもやはり、日々アンテナをはって様々な情報を得ておくことで
仕事の効率は格段にあがりますし、
新しい法律などは、それが制定された背景を知っておけば
理解度も高まります。
このあたりは、ビジネスマンの情報収集にも似ていると思います。
弁護士も、日々勉強、日々修行、ということですね。

全9回にわたって、弁護士の仕事についてご紹介してきました。
弁護士の日々の仕事について、イメージしていただけたでしょうか。

次回からはまた別のテーマで更新していきたいと思います。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年8月11日 火曜日

弁護士のお仕事 第8回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。

先週まで、弁護士は具体的にどんな相談を受けているのか、
という視点でご紹介してきました。
債務のご相談をはじめ、交通事故、遺産分割などでは
裁判をせずに済むケースが思いのほか多いということが
わかっていただけたでしょうか。

法律事務所に相談にいらっしゃる方のほとんどは
生活の中で誰にでも起こる可能性のある
身近なトラブルを抱えた方です。
こういった身近なトラブルは、過去の事例も多く
「もし裁判をしたらどんな判決が出るか」
ということもある程度予想できることが多いのです。
そのため、あえて裁判をしなくても、
過去の事例や法律の取り決めに従って進めるほうが
時間の面でも費用の面でも、効率が良いのですね。

中でも、交通事故や遺産分割のように、
法律に詳しくないごく普通の方同士でのトラブルの場合には
弁護士という専門家が話し合いに加わることで
一気に解決に近づくことも多々あります。

また、これはあまりイメージにないかもしれませんが
弁護士の仕事というのは、資料を調べたり、書類を作成したりと
地味で根気のいる作業をする時間が実はとても多いのです。

例えば相続手続きについてのご相談があれば、
・遺産の状況の調査(金融機関への問合せなど)
・目録の作成
・戸籍の取得(相続人が何人いるかの調査)
・預貯金の解約手続き
・遺産分割協議書の作成
といった作業をすることになります。
一部は依頼人の方が手続きをしてくださることもありますが、
前回もご紹介したように、こういった手続きは
不慣れな方には大変な労力がいるものですので、
弁護士が代理して行うケースもたくさんあります。

もちろん、法律事務所には事務員もおり、
基本的には事務員と協力して進めます。
とはいえ、一部の手続き(戸籍の取得や預貯金の解約など)は
依頼人の代理として行うために、資格が必要になりますので
事務員だけでは進められないことも多いのです。

毎日複数のご相談を受けながら、その合間にこういった
事務作業を進めていくのは大変なことですが
一つひとつのご相談は、依頼人の方にとっては
人生における重大な出来事でもあります。
依頼人の方の財産や権利をお預かりする仕事、とも言えます。
それだけに、お任せいただいた一件一件に大きな責任を感じ、
また、トラブルが解決し、依頼人の方が安心した表情で
帰っていかれたときは、弁護士も事務員も大きなやりがいも感じます。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

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