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田中ひろし法律事務所のBlog

2015年11月28日 土曜日

ADR(裁判外紛争解決手続) 第4回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。

では、具体的にどんなトラブルでADRが利用され、
どんな結果になっているのかを見てみましょう。

たとえば、消費者と事業者との間のトラブルなら
国民生活センターのホームページに個々の事案の資料があります。
http://www.kokusen.go.jp/adr/hunsou/kekka_gaiyou.html

こちらのホームページには、個々の事案の発生した経緯と、
どのような形で和解に至ったか、あるいは和解が成立しなかったか
といった詳しい説明がPDF資料で掲載されています。
私も今回のブログを更新するにあたって、ざっと目を通してみましたが
結婚式場の申込みや商品購入、保険といった身近な内容のものが多く、
こんなトラブルがあるんだな、と勉強になりました。
事例のひとつをご紹介します。

事案A: 街頭で声をかけられたのをきっかけに購入した絵画に関する紛争
(詳細な説明は
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20100203_2.pdf#page=18
にあります。資料には文章で説明がありますが、ここでは
よりわかりやすくするために箇条書きにしています)

<申請人の主張>
・街頭で声をかけられたのをきっかけに執拗に勧誘され、展示会場に入った
・3時間にわたって説得され、断りきれずに絵画を購入した
・購入した絵画の代金は100万円
 (120万円のものを20万円引きにすると言われた)
・当日、頭金として10万円を支払い、残金90万円は相手方の口座に振り込んだ
 (一度はクレジット契約としたが、金利分が惜しくなったため)
・「商品到着後8日以内であればクーリングオフができる」と思っていた
・クーリングオフを申し出たのは「契約締結後9日」であったため、相手方は解約に応じなかった
・絵画の売買契約を解消し、支払った代金を返して欲しい

<相手方の主張>
・街頭で、絵画の販売目的や主要作品の販売価格、クーリング・オフについて明記したリーフレットを渡しており、申請人はこのことを承知で展示会場に入った
・長時間に及ぶ勧誘は行っていない
・契約締結後、申請人自らクレジット払いから現金払いへの変更を申し出て、商品受領後速やかに支払いを行っている
・申請人は自己の意思で本件商品を購入しており、クーリングオフ期間内に申し出を行っていない
・全額返金を認めることはできない

クーリングオフに関する認識や、長時間の勧誘があったかどうかなど
双方の主張が食い違っていますね。
手続きでは、双方から、街頭での呼び止めの際のやりとり、
展示会場までの誘導や勧誘の状況、契約後のやりとり等について
確認を行っています。

さて、申請人の主張は認められたのでしょうか?
長くなりましたので、この事案の結果については
次回のブログでご紹介します。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年11月17日 火曜日

ADR(裁判外紛争解決手続) 第3回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
さて、前回までの説明で
「ADRって、費用も安くて、手続きが簡単で、
しかも専門家に間に入ってもらえて、とても便利!」
と思っていただけたでしょうか。
ただ、やはりどんなトラブルでもADRで解決、というわけには
いきませんので、ADRで取り扱うことのできる紛争の
条件についてもご紹介しておきたいと思います。

まず、ADR全般の条件として、
・この手続きを利用することに、双方が同意している
・仲裁の場合には、あらかじめ第三者による仲裁判断に従う
 という「仲裁合意」を行う
といったものがあります。

さらに、一口にADRといっても、
裁判所で行われる「民事調停」や「家事調停」から
民間の紛争解決事業者が行うものまで、さまざまあり、
紛争解決事業者によって、取り扱える問題は異なります。

たとえば、最も広く消費者トラブルを扱っている機関の一つである
国民生活センター紛争解決委員会は、
・同種の被害が相当多数の者に及ぶ(または及ぶおそれのある)事件に係る消費者紛争
・国民の生命、身体、財産に重大な危害を及ぼす(または及ぼすおそれのある)事件に係る消費者紛争
・事件が複雑であるなどの事情により、紛争解決委員会が実施する手続きで解決することが適当と認められる消費者紛争
という3つの大きな条件があります。

とはいえ、ご自身のトラブルについて、これらの条件に当てはまるかを
自分で判断することは難しいと思いますので、
まずは関係のありそうな機関に問い合わせをして、
「こんなトラブルで困っていますが、ADRを使えますか?」
と質問してみるのが良いのではないかと思います。
どこに相談して良いかさえ分からない場合は
以下のような、認証紛争解決事業者(法務大臣の認証を受けて
ADRの業務を行う事業者)の検索ができるサイトで
調べるという方法もあります。

裁判外紛争解決手続の認証制度(かいけつサポート)
http://www.moj.go.jp/KANBOU/ADR/index.html

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年11月10日 火曜日

ADR(裁判外紛争解決手続) 第2回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
今月は「ADR(裁判外紛争解決手続)」について
ご紹介したいと思います。

ADRとはその名前のとおり、裁判以外の方法で紛争(トラブル)を
解決する手続きのことです。
なぜ、裁判以外の方法を用いるのかというと、現状の裁判は
・費用がかさみやすい
・解決までに時間がかかる
・手続の進め方が難しい
・経過や結果が公開される
といった点が利用者にとってハードルになりやすいからです。
逆に言えば、ADRを使えば、
費用を抑えて、比較的短期間で、簡単な手続きで、非公開で、
トラブルの解決をはかることができるというわけですね。

ADRでは、消費者と事業者との間に起きたトラブルについて
仲介委員あるいは仲裁委員と呼ばれる第三者が間に立って
トラブルの解決をはかります。
方法は「和解の仲介」「仲裁」の2つに分けられます。
「和解の仲介」では仲介人はあくまで和解による解決を目指すのに対し、
「仲裁」では仲裁人の判断で解決をはかります。

民事裁判との大きな違いは、問題となっている取引について
専門的な知識や経験を持つ人が間に立って、中立かつ公正な立場で
手続きを進めてくれることです。
例えば、先週のブログでも触れた、建築物の傾きの問題などは
特に専門的な知識が必要なトラブルであるといえます。
ほとんどの場合、消費者は専門知識がないケースが多いので、
当事者同士で話し合うよりも、こういった制度を利用して
専門家に仲介・仲裁をしてもらうほうが良いですよね。

ただし、ADRを利用する際には少し条件がありますので、
次回はその点についてご紹介したいと思います。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年11月 4日 水曜日

ADR(裁判外紛争解決手続) 第1回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
三井不動産グループが販売した横浜市のマンションが傾いている
という問題で、地盤に杭を打つ工事を請け負った旭化成建材が
施工データを改ざんしていたとして、連日、新聞やニュースを
賑わせています。
問題となった会社以外にも、業界全体でこういったデータ改ざんが
行われているのでは?と疑問視する声も上がっています。

今回は横浜市のマンションだけでなく、学校や公営住宅など
複数の物件で見つかったということもあり、非常に大きな
ニュースとなりました。
「自分の会社の建物は大丈夫だろうか?」
「子供の通う学校は問題ないのだろうか?」
と考えると、他人事ではないですね。

今回の件は、まだ当事者である旭化成や三井不動産側が
調査を行っている段階ですが、
今後は徐々に建物の建て替えや住民への補償に関しての
話し合いが進められることになると思います。
マンションの建て替えとなれば、多くの住民の同意を得る
必要がありますし、学校などは市町村だけでなく
保護者の意見も無視できませんから、話し合いは
かなり難航しそうですね。

場合によっては裁判になることも考えられます。
過去には、阪神大震災の際、
被災したマンションの建替えに同意しなかった元住民が、
マンション管理組合と建替えを請け負った県住宅供給公社に、
建替え決議の無効と所有権の確認を求めて訴訟を起こした
こともありました。

とはいえ、裁判をするとなるとお金も時間もかかります。
ただでさえトラブルに巻き込まれてしまって大変な思いを
しているのに、たびたび仕事を休んだり、
大きな費用を負担するのは辛いですよね。
そこで、今月は「ADR(裁判外紛争解決手続)」について
ご紹介したいと思います。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

2015年10月30日 金曜日

個人情報保護法 第4回

こんにちは、田中ひろし法律事務所です。
さて、いま話題のマイナンバーに話を戻しましょう。
今回のマイナンバー制度は、
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」
という法律(いわゆるマイナンバー法)にもとづいて
運用されるものです。
これは個人情報保護法とは別の法律ですので、
これまでの個人情報とは取り扱い方法も異なります。

例えば、個人情報の取得は
「利用目的を明示し、本人の同意を得る」ことが
基本となっていましたが、マイナンバーの場合は
このほかに、法令で定められた場合にしか取得することは
できないことになっています。

また、マイナンバーの利用目的も定められています。
大きく
・税関系
・雇用保険関係
・健康保険、厚生年金関係
の3つが利用目的とされており、マイナンバーを
顧客管理番号などとして使うことはできません。
もし、税金や保険、年金の手続きが必要になる可能性がないところ、
たとえば、商品の購入やキャンペーンの申込みなどといった場面で
マイナンバーの提出を求められた場合には、要注意です。
(将来的には預貯金の口座にも登録することになるようですが、
現時点では登録は必要ありません)

さらに、情報の保管や廃棄についても
漏えいなどのないように厳重に管理することはもちろん、
「不必要になったらできるだけ速やかに廃棄・削除」しなければ
なりません。

マイナンバーを利用する際は、これまでの個人情報にくらべ、
より厳格な保護措置が必要になるということですね。
となると、
「こんなに重要な情報、他人に預けるのは不安」
と感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、
ここでもうひとつ覚えておきたいのは、
マイナンバーは、パスワードと対になって初めて
その登録情報を閲覧できるようになるのであって
マイナンバーを提出したからといって、それだけで
収入や貯金額などの情報が知られるわけではない、ということです。
ですから、例えば勤め先などから提出を求められても
むやみに警戒して断ったりする必要はありません。
ただ、パスワードの管理だけはしっかりとしておきたいですね。

投稿者 弁護士法人田中ひろし法律事務所 | 記事URL

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